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2019.07.03

ハリケーン被害をシミュレート 米大学がVRコンテンツ制作

ハリケーン被害をシミュレート 米大学がVRコンテンツ制作

防災に関する世界の取り組みを紹介していきます。
第一回はハリケーンシミュレーションVRを紹介します。

大きな被害をもたらすハリケーン。死者を出すほどのハリケーンがここ数年で多数発生しており、世界的に大きな損害をもたらしています。

ニューヨーク州のホフストラ大学はその被害を大きさを多くの人に理解してもらうため、
VRコンテンツ「Category 3 Hurricane Landfall Virtual Reality Simulation」を制作しました。

ハリケーンを題材にしたリアルな体験

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同大学のJase Bernhardt助教授と6人の学生はハリケーン時の警報や人々の備えを改善するため、このプロジェクトを開始しました。本VRコンテンツではカテゴリー3(風速111~129マイル/時)の大型ハリケーンの真っただ中にいる体験ができます。

体験者は、部屋の窓からハリケーンが迫ってくる様子を見ています。警報の音が聞こえ、風や雨が叩きつけてきます。がれきが飛び、部屋が浸水し始めるとあっという間に水がすぐそばまで押し寄せてきます。

シミュレーションVRは人々の災害に対する認識を変える

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このコンテンツの目的はユーザーがリアルな恐怖を体験し、ハリケーンについて実感をもって理解することに加え、避難の判断をしたり、避難できない場合はどうするかを考える助けとなることです。

2015年にニュージャージー州で行われたある世論調査では、47%の住民がハリケーンの接近時に避難すると回答、一方6%はその場にとどまり、さらに6%は何をすべきか分からないと答えました。ショッキングなことに、ハリケーンへの備えが十分にできていると回答したのはわずか28%。46%の人はほどほどに準備しているものの、残る26%は少しだけ備えがあるか“全く準備できていない”と回答しています。

ホフストラ大学の研究チームの発表によると、実験後、従来の災害報道を見せた学生グループでは、「(災害に遭遇した際)避難する」と答えた割合は全体の70%に留まったのに対して、VRビデオを見たグループは90%が、災害時に避難を行うと宣言したとのこと。

Bernhardt博士と彼のチームによる研究の結果は、VRが人々のリスク認識を変え、ハリケーンについての認識を改善する可能性が高いことを示しています。

ハリケーンVRシミュレータから学ぶ事

災害対策で大切なのは、事前の準備です。しかし意識が変わらなければ、なかなか行動にうつせません。
VRはその部分で大きな役割を果たすことがわかりました。
一番難しい「意識を変える」ことができるコンテンツ。これからも注目が集まっていきそうです。

参考:https://vrscout.com/news/hofstra-hurricane-vr-simulator/