2019.07.17
IoTで洪水被害に備える「Flood Network」
防災に関する世界の取り組みを紹介していきます。
第9回はイギリスで行われているIoTを使った洪水対策システムを紹介します。
2018年7月に西日本を襲った大規模な豪雨。洪水や土砂災害などにより15府県で220人以上の死者を出し、平成最後の夏に大きな被害をもたらした豪雨は、まだ我々の記憶に新しいです。日本と同じく洪水の被害が多いイギリスでは、その被害を最小限に食い止めるための高度なネットワークシステムへの取り組みがなされています。
洪水被害によって生まれたネットワーク
イギリス オックスフォードを拠点とするIoTを専門とするスタートアップ「LoveHz」の創設者であるBen Ward氏は、2013年暮れから2014年初頭に発生した大きな洪水に見舞われ、IoTで河川の水位をモニタリングすることを考え出しました。
Ben氏はオックスフォードを流れる小川に最初のセンサを設置し、水位のモニタリングを開始しました。すぐにNominet UK(英国でドメイン名を管理する組織)からの支援をうけ、センサ数を増加させモニタリングネットワークを拡大。これが後のコミュニティープロジェクト「Flood Network」へと成長していきました。
IoTを用いて素早い情報伝達が可能
Flood Networkでは、小型の低価格ワイヤレスセンサーを河川に設置することで水位を測定。IoTのテクノロジーを使用して、Flood Networkのシステムにデータを送るゲートウェイに無線で接続します。それらのデータを収集しライブマップに反映することで、水位が上昇しやすい地域や雨が降ったときに危険な場所がリアルタイムでわかるようになっています。
これらの情報は洪水がおきた時に人々がより最適な決断を下すのを助け、状況の変化に関する情報を素早く共有します。
またサブスクリプションを使用すると、水位が変化したときにSMSやEメールで情報を通知することも可能です。
予測できない災害に備える
このようなネットワークが充実していれば、素早く危険を察知し避難を促したり、これから起こりうる災害に備えることができます。インターネット技術が発達している今、いち早い情報伝達が防災につながる鍵となりそうです。