2019.07.18
ARで火山噴火の被害を伝える新しい報道の形
防災に関する世界の取り組みを紹介していきます。
第10回はアメリカの老舗新聞社による、ARを駆使した取り組みについて紹介します。
アメリカ大手新聞社のニューヨーク・タイムズ社は、同社が配信するアプリ「The New York Times」の一部記事をARで配信しています。
2018年6月に発生した、グアテマラのフエゴ火山の噴火もARで報道されました。
実際のサイズ感までわかるAR
NYタイムズのアプリ(iOS/Android)を使い、読者は火山による被害をリアルに目にすることができます。3D画像を原寸大のサイズに切り替えることも可能です。
同誌のレポーターNiko Koppel氏は、「我々はこの災害による被害を、新しい方法で読者に伝えられると考えました。(ARによって)読者はまるで災害の現場に立っているかのように、報じられた事件や被害により迫ることができます」と話しています。
727枚もの写真を使用した3D画像
ARコンテンツは6月19日、噴火発生から16日後に配信されました。死者150人以上というこの大規模な災害の残す爪痕を、読者にリアルに伝えるものとなっています。
ARコンテンツに用いられたのは、噴火から5日後の6月8日、現地に住むカメラマンが撮影した727枚の写真です。Koppel氏は「カメラマンに、どうやって3D化用の写真を撮影すべきか教えました。つまり、後からソフトウェアで編集するために、あらゆる角度から被写体をとらえるということです」と説明しています。
ARが担っていくこれからのメディア
ARを用いた報道で、遠くにいる人々もよりリアルな被害を目の当たりにすることができます。3D画像の作成のために非常に多くの写真を使用する必要がありまだまだ課題は残りますが、災害をリアルに感じされてくれる手段の一つとしてメディアのAR活用も今後は進むと考えられます。