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2019.12.26

プライバシー空間を美しく確保する紙の避難所システム

プライバシー空間を美しく確保する紙の避難所システム

災害による住居の崩壊や居住地域に避難勧告を出され避難所での生活を余儀なくされることがありますが、そのストレスは想像を超えるものです。このストレスを軽減させるにはプライバシーの確保が大変重要です。今回は、災害時に実際に使用された紙の間切りシステムをご紹介します。

プライバシー空間が無いことによる大きなストレス

避難所での生活が始まると、日常生活の何気ないことが大きなストレスとなってしまいます。他人の目がたくさんある中での着替えやトイレ、子連れ女性の授乳など、今まで自宅で普通にできていたことのほとんどがストレスになります。実際に避難所で生活した方ではストレスによる影響が出ている方が多く、その症状は不眠や腹痛、頭痛などの身体的なものから苛々、焦燥感、抑うつ症状などの精神的なものまであるようです。
このストレスの軽減の為にはプライバシー空間を作ることが重要で、仮設住宅の建設を急ぎますが、やはり建設には時間が掛かってしまいます。

安価で簡単に設置できる紙の間切りシステム

そこで、紙の建設家で知られる坂茂さんが、避難所に設置する簡易的な紙の間仕切りシステムを作りました。柱、梁、ジョイントが紙管で作られていて、間仕切りには木綿の布が使用されています。写真からもわかるように、プライバシーの確保と同時に混沌としていた避難所が整然とした、美しい見た目になります。混沌している場所は、心理的にもうつ気味になりやすいと言われている為、美しい見た目もストレス軽減にとても役立っています。
この間切りシステムは紙管同士を穴に差し込むだけのとても簡単な仕組みで、1ユニット1〜2分で組み立てられるそうです。また、1平方メートルあたり1,500円で設置することができ、解体後はリサイクルや再利用も可能です。
2011年の東日本大震災発生時には50箇所の避難所で、約1,800ユニットが使用されました。

避難所における大幅なストレス軽減への期待

突然生活環境が変わり、プライバシーがなくなってしまうことは本当に想像もできない程のストレスとなりますが、この紙の間切りシステムによって大幅にストレス軽減されるのではないでしょうか。また紙でできているため軽量で、非常に簡単な設置なので、実際に子供たちも一緒に組み立てることができたそうです。
ストレス軽減には会話も有効的とされていますが、人目があると会話すら難しくなってしまいます。個人の時間をきちんと確保することによって、そのような誰かと会話をする余裕も持つことができると思います。
今回は迅速且つ安価、簡単に設置することができ、見た目からも心を落ち着かせることができる紙の間切りシステムをご紹介しました。これから起きてしまうかもしれない避けられない災害時も、活躍を期待しています。

参照:https://www.designboom.com/architecture/shigeru-ban-emergency-paper-partition-system/