2019.08.09
火災現場で炎の向こう側が可視化できるシステム
防災に関する世界の取り組みを紹介していきます。
第26回は火災現場で役立つ可視システムの開発について紹介します。
アメリカの国立標準技術研究所(NIST)の研究者は、青色のライトを使用して大規模な天然ガス火災に巻き込まれた物体を見る実験に成功しました。
ライトを用いて状況を判断
火災により建物が炎に包まれると、強い光と熱による勾配によって視界が遮られてしまいます。監視カメラやセンサーなども高温にさらされ、機能しないケースが殆どです。この”NISTブルーライトイメージング法”は、そんな従来のカメラやセンサーが無効となってしまうような大規模な火災発生時に、視覚データを得るための有用なツールとなります。
対象物を鮮明に写す検証
研究チームは、ガスの炎の後ろに観察対象となるターゲットを置き、「白色光だけで照らして普通のカメラで撮影」「青色光だけで照らして普通のカメラで撮影」「青色光を照らして光学フィルターを装着したカメラで撮影」の3パターンをテストしました。その結果、青色光と光学フィルターを用いた方法で、炎の光による影響を10000分の1に減少させて、きわめて詳細な画像を撮影することに成功したそうです。
火災の研究に役立つ
この研究により、火災発生時に燃え上がる火の向こう側にある物体を特定したり、建物に使われる物質がどのように燃えていくかを鮮明に捉えることができます。この技術は今後も火災発生に関する研究や対策に、大いに貢献していきそうです。
参考:https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs10694-018-0756-5