2019.12.19
機能性をデザインされた視覚障害者用消火器「Ball」
12月に入り、寒い日が続くようになりました。冬は空気が乾燥し、火災の発生率が高くなる季節です。万が一火災が発生した時、消火器を使用する事で大きな事態を防ぐことができますが、視覚障害を持った方は簡単に消火器を使えません。今回は、そんな方の為にデザインされた視覚障害者用消火器「Ball」をご紹介します。
冬季火災事故の原因
今の季節は暖房器具による事故が増え、2014年から2018年までの調査ではそのうちの8割が火災事故につながっています。暖房器具による事故は10月から徐々に増え始め、1月にピークとなります。
暖房機器の操作ミスや消し忘れなどが多くの原因で、視覚障害の方は特に操作ミスなどが多いようです。しかし、それよりも火災への対応が出来ないことが問題です。視覚障害の方は出火原因の把握ができないことに加え、ほとんどの方が消火器を使ったことがないそうで、障害者の火災死亡率はそうでない方の約5倍にもなるそうです。
視覚障害者の為に作られた消火器
視覚障害の方がいち早く火災に気付き、対応できるようにと考えられたのがこちらのBallという消火器です。
Ballは非常にスタイリッシュなデザインですが機能は充実しており、ガイドスピーカーと熱検出カメラを搭載しています。
本体とは別に家に設置する火災検出センサーがあり、こちらから信号を受け取り、本体のスピーカーからアラームで火災を知らせます。アラームはそのまま音声操作ガイドとなり、やるべきことを教えてくれます。
上部の赤いボールは上下左右自由に動き、消火剤噴出口のすぐ上に取り付けられた熱検出カメラで自動的に出火元へと方向を変え、消火剤を噴出します。
火災が起きたら素早い対応を
小さな火から大きく燃え広がっていく火災は、出火直後の対応がとても重要です。実際に、焦げた臭いや火災報知器の警報音を聞いて出火に気付き、初期消火により大事には至らなかったという例も多くあります。周りに身体の不自由な方がいる場合、可能であれば普段からコミュニケーションをとり、火災に限らず災害時には躊躇せずに助け合う関係を築けると障害者の方も安心かもしれないですね。
参照:https://www.design-inspiration.net/inspiration/minwook-paeng-ball/