2019.11.25
スペインの即時に展開できる仮設住宅モジュール
災害発生後、すぐに必要となるのが生活空間の確保。被災地に建ち並ぶプレハブなどの仮設住宅は、誰もが目にしたことがあると思います。
今回はスペイン、バレンシアで開発された、即時に展開できる仮設住宅モジュールのご紹介をします。
コストや時間がかかる日本の仮設住宅事情
日本では仮設住宅が設置されるまで、体育館などで生活をしたりする場合がよくあります。できる限り早くプライバシーが保護された空間に入りたいと思われる方が多いのですが、実際に入居までには2週間〜3週間ほどかかってしまうのが現状のようです。また、手続きの遅れや入居倍率の高さなどからスムーズに入居できない例もありました。日本では現在、二種類の仮設住宅があります。
【1.応急建設住宅】
被災地近くに建設されるのが応急建設住宅です。同じ敷地内に複数設置され、着工時期は災害発生日から20日以内ですが一戸あたり数百万円の建設コストがかかり、撤去や廃棄物処理のコスト、手間もかかってしまいます。
東日本大震災時の入居者数は約6万8,000戸。
【2.みなし仮設住宅】
既存の空き家などを自治体が借り上げて活用しているのがみなし仮設住宅です。応急建設住宅よりコストを抑えることが出来、居住性のレベルも高いです。しかし被災地の近くで見つかる可能性は低いのがデメリットです。
東日本大震災時の入居者数は約5万3,000戸。
スペインでは災害時、未使用の公共施設を活用
上のバレンシア市内地図の赤い丸印は、公共施設の使用されていないスペースだそうです。スペインではこのように使用されていない広いスペースが多くあるようで、公共施設のスペースのため水道やバスルームの確保も簡単にできるようです。
ここを利用して、コンパクト且つ軽量で持ち運び可能な即時シェルター、日本でいう仮設住宅が開発されました。
ユニークなスペインの即時シェルター
下には車輪がついており、画像のように非常にコンパクトな形状からサイドカバーを開くだけでベッドやクローゼットが現れ、簡単に生活空間を作ることが出来ます。素材はベニヤ板と強度、耐久性に優れている松板。シート部分はプラスチックシートを使用しています。真ん中のドアで簡単に接続も可能で家族で住むことも出来るようです。
色使いもとても可愛らしく、ユニークなスペインの即時シェルターをご紹介しました。日本にはこのような未使用の公共施設のスペースは無いようですが、このように持ち運びや保管も簡単な仮設住宅は、即時のプライバシー確保やみなし仮設住宅が見つかるまでの生活空間として役立ちそうです。